スピカブログSpica Blog
過去との対話
たなかです。
今回、自分が約8年前に作った靴の修理をしました。
何と言いますか、複雑です。
素材はお客様のリクエストにより、ミネルバリスシオ グレー × ミネルバリスシオ ボルドー (特注色) でのコンビネーションのキャップトゥ・ダービー です。 いわゆるミリタリーパターンですね。
ちなみにミネルバリスシオという革、いわゆるバケッタレザーで、本当に昔ながらの自然ななめし方で作られている稀有な革素材です。
実にファンキーなコンビネーション、コム・デ・ギャルソンに合わせるとのこと。
その革の仕上げにグレーやネイビー、ブラックなどの様々な色で 『景色を入れる』 ことをしました。
ヴェヴェルドウエストはかなりえぐっておりました。 今回はハーフソールでラバーを装着。
ヒールをかなりのピッチドヒールにカスタム、フィリップスのラバーのトップピースに交換しました。
シューレースは茶の平紐、ボローチップ(紐の端)はアンティークのメタル。
出し縫いももちろん手縫い、きっちりそろってウィールも綺麗に入ってます。
この靴を久しぶりに見て想うことは、正直複雑です。
本音を言うと、Aという靴を作っているときにはBという次に作る靴のことを考えています。
そして、Aの靴ができた時にはもうBの靴をA以上に上手く作る自信と手段があるわけで…。
常により良いものを作るために進化している(と思っている)人間としては、過去の製品はあまり見たくないのも事実。 でも、見返すと反省すべき点が多々あり次の肥やしになるのも事実。
それともう一つ思うことは、『なんだか変わってないなぁ、自分』 と。
もちろん細かい型紙のバランスや、細部の処理方法は進歩してるとは思うが、「芯」のような部分は変わっていないような気がします。 この事実をどうとらえるか、自分では複雑です。
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