Spicaは、オーダーメイドの他に革小物の修理サービスも人気です。その理由は、原状回復力の高さ! 諦めていたキズや汚れはもちろん、使う人がより長く愛用できるように補強まで考えた、ワンランク上のお直しを提案してくれるのだとか。そこで今回は実際にSpicaで行なったバッグの修理事例をスタイリストでもある筆者がご紹介します。
事例1:【クリーニング】エルメスのバッグ、黒ずみがなかったことに!
BEFORE / お直し前
まず、ご覧いただきたいのがこちら。HERMES(エルメス)のバッグ、ガーデンパーティです。ガーデンパーティは「トワルアッシュ」というエルメス特有の耐久性に優れたキャンバス地を使用しています。通常のキャンバス地よりもキズや摩擦には強いのですが、長く愛用することによって生まれた黒ずみ・黄ばみはどうしてもついてしまいます。
持ち手付近には茶色いシミがいくつもあります。
こういうの、気をつけていても気づかない間に……。
バッグの傷・汚れの三大あるあるの一つ、角の擦れ。
目には見えにくい部分ですが気づいたら最後、気になって仕方がない部分です。
AFTER / お直し後
全体的な黒ずみと黄ばみがあったとは思えないくらい元々の白さに戻りました! 元々の生地を傷めずかつしっかりと汚れが落ちる特殊な洗剤を使ってクリーニング。均一的な白さが再現されています。
また、ガーデンパーティは革とキャンバスのコンビ素材なので、革部分からの色移りがキャンバス地に影響しないよう細心の注意を払う必要があります。
そのため、通常のキャンバスバッグのクリーニングと比べると時間も手間もかかるそう。こちらもSpicaの
高い技術なしには仕上がらないクォリティの高さです。
持ち手付近にあったシミもなかったことに!
擦れてしまった革は染め直しで元どおり。染め直しは色が褪せてしまった部分や擦れてしまった部分を元の風合いに合わせて馴染むように補色する高度な修理技術です。
染め直しといっても、ただキズやスレを目立たなくさせれば良いというわけではありません。革の風合いを損なうことなく全体の質感・雰囲気のバランスを整えるのには経験によって培った職人の目利きと手業が重要。これだけ間近で見ても染め直し部分が浮いて見えることなく自然に仕上がるのは、なかなかお目にかかれません。
<修理内容・料金>
メニュー:クリーニング&染め直し(ステッチ外し)
料金:税別 29,500円
納期:2ヶ月〜(受注状況によって変動あります)
※修理料金はあくまで目安です。バッグの状態によって料金の変動もございますので、まずはお問い合わせください。
事例2:【持ち手交換】ルイ・ヴィトンのバッグ、より使いやすい持ち手へ
BEFORE / お直し前
こちらはLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)の紳士用バッグ。一見すると状態は良く、お直しの必要がないかと思われますが持ち手に注目すると…。
持ち手上部の革がゆがんでいます。
平手タイプの持ち手は見た目こそスマートなのですが、実際に使い続けるうちに、このように手のクセがつきやすくなってしまうのですね。
とくにビジネスバッグは書類やノートPCなど重いものを収納するので革も伸びやすい形状。こちらはバッグ全体に目立つ汚れはないとはいえ、持ち手のみがゆがんでしまっているので少しもったいない感じがします。そこでSpicaはこれをこのように変身させました。
BEFORE / お直し後
なんと大胆に持ち手を平手から丸いタイプに変更。もちろんお客様の希望によって持ち手を作り変えています。
当初は補修のみのご依頼でしたが、お客様の普段の活用頻度や活用シーンを伺っていく中で、お客様の手に馴染む持ち手に作り変えたほうが、より長く良い状態が維持できるという結論になりました。
見た目のスマートさは損なわれることなく、より使いやすいバッグへと変貌。本来はご依頼いただいた内容通りに補修するだけでも良いのかもしれません。しかし、せっかくお直しをするなら今まで以上に良い状態となってお客様の元へ届けたい。そんな思いもあって、ときにはプラスアルファのご提案をすることもあるようです。
<修理内容・料金>
メニュー:持ち手交換
料金:19,200円(税別)
納期:1.5ヶ月
※修理料金はあくまで目安です。バッグの状態によって料金の変動もございますので、まずはお問い合わせください。
使い続けられるお直しを目指す
Spicaのお直しはプロの職人によって手を加えられるもの。バッグそのものを見れば、いつ、どんな時に使っていて、どれくらい使い込んでいるのかも把握できるのだとか。だからこそ「直して終わり」ではない、その先を見据えたお直しを目指しています。なにより使う人の日常に合わせて必要な補強をすることで、お直しする前以上の価値を生み出すことも可能なのです。ずっと使い続けたい大切なバッグをお持ちの方はぜひ、Spicaでお直しをしてみては?
取材・文 角 佑宇子
profile:スタイリスト・ライター。アパレル販売員の後、スタイリストアシスタントを経て独立。現在は女性向けWebメディアにて着こなしに関するコラムを配信。「より良いものをより良く活かす・身につける」をモットーに、世にある素敵なアイテムを日々、探求中。
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